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時代に合わせて大きくアップデートする地域の集いの場
たった一人の熱狂から世界が動き出す想いをインタビューする「On the One」。今回お話を伺ったのは、エキチカ温泉くろしお支配人の石間 文博さん。エキチカ温泉くろしおの歴史から将来展望まで伺いました。
(エキチカ温泉くろしお支配人)
石間 文博
エキチカ温泉くろしお支配人。
「やいづ黒潮温泉 焼津駅前健康センター」で働き始めてから、2017年のリニューアルを経て現在の「エキチカ温泉くろしお」に至るまでの歴史を見守ってきた。現在は、若い世代にも楽しんでもらえるようリニューアルを行い、老若男女が様々な楽しみ方ができる温泉施設を目指して営業している。
焼本記事は、焼津まちかどリポーターで取材させていただいた「焼津の“食”と“温泉”が紡ぐ癒しの時間 〜日帰りで行く!焼津温泉の楽しみ方〜」で取り上げた、エキチカ温泉くろしお支配人の石間 文博さんの対談記事になります。
焼津まちかどリポーターの記事をまだ読んでいない方は、こちらから読んでいただくと、本記事をより楽しんでいただけると思います。
焼津駅前健康センター時代の様子
編集長 ケンフィーエキチカ温泉くろしおは、いつから市民に親しまれてきたんでしょうか?
石間 文博元々は、1984年に創業した「やいづ黒潮温泉 焼津駅前健康センター」という施設でした。それを2017年にリニューアルし、今の「エキチカ温泉くろしお」になりましたね。
編集長 ケンフィー1984年に「やいづ黒潮温泉 焼津駅前健康センター」を創業したのは、どういった背景があったのでしょうか?
石間 文博焼津温泉自体は、地元のガス会社が掘削した天然ガス井戸から源泉を発見したところから始まりますが、1983年に源泉が発見された際に、焼津市内で天然温泉を活用しようという動きが高まり、その翌年に健康センターがオープンしました。
編集長 ケンフィーなるほど。ちなみに石間さんは、いつからこちらでお勤めになられたのでしょうか?
石間 文博私の先輩が誘ってくれて、ここで働くようになりましたね。ここに就職して初めて、ここが天然温泉だと知りました。
編集長 ケンフィー焼津温泉自体、今でも認知度が低いそうですから、当時はもっと知らない人が多かったのでしょう。当時は、どのような感じだったんですか?
石間 文博そうですね。健康センターの時は、娯楽と健康を組み合わせた場所で、カラオケやお酒を飲んで皆さんとコミュニケーションを取る場所として使われていました。しかし、年々利用者が年を取ってきて、若い世代にはあまり受け入れられなくなってきましたね。
編集長 ケンフィーといいますと?
石間 文博くろしお温泉=おじいちゃんおばあちゃんの集う場所という感じで、さらにカラオケで酔っ払いがいるというのは、若い世代にとって、あまりいいイメージはないですよね。
編集長 ケンフィー確かにそうですね。
石間 文博私たちも、それだと駅前の立地がもったいないと思い、もっと楽しんでいただける施設を作ろうということで、今まで利用してくれたお客さんも含めて、彼らがお孫さんや息子さんと一緒に楽しめるような施設に変えることにしました。ただ、当時はもう施設を閉館するつもりでした。
編集長 ケンフィーそうなんですか。
石間 文博当時は、「いいアイデアがなかったら辞めよう」という話で一旦休館しました。2016年の8月に休館して、辞めようかどうしようかという形で始めた中で、お風呂とカフェを組み合わせた施設など若者が集まる温泉施設が全国で流行りだしていたので、焼津でもできないかなと模索していたこともあり、お孫さんが行きたいと思ってくれるような温泉にすれば、まだ続けられるのではないかと考えました。そういう意味も含めて、中もガラッと変えて、現在のエキチカ温泉にしたんです。
時代に合わせて大きくアップデート
編集長 ケンフィー思い切った方向転換ですね。おじいちゃんおばあちゃんが中心だったのが、若い世代を中心にするという、大胆な変化ですね。
石間 文博業態は同じなんですけど、コンセプトを変えるというのはなかなか思い切ったことでした。
編集長 ケンフィー不安とかはありましたか?
石間 文博本当にお客さんが来るのかと思いました。案の定、リニューアルしてから数ヶ月間はあまり客足がよろしくなかったです。
編集長 ケンフィー自分の周りでも結構利用している人が多いですが、そこから少しずつ、若い世代に浸透し始めてきた感じですか?
石間 文博そうですね。やはり時間が経てば、口コミも広がりますし、その口コミが一番の宣伝力だったと思います。一度行ってくれた人が友達を連れてくるとか、旦那さんが来たら、次は奥さんと一緒に来るとか、そういった、いろんな形の使い方ができるような施設にしていけばいいなと考えています。
編集長 ケンフィー特に2階のくつろげるスペースが、自分の周りの人たちからも、お風呂上がりにゆっくりできるという話をよく聞きます。それが若い世代に親しまれる要因ですかね?
石間 文博はい、老若男女がいろんな楽しみ方ができるようにと考えてリニューアルしました。ただのお風呂屋さんではなく、お風呂を軸にしたコミュニティやコンテンツを置き、いろんな楽しみ方ができる場所にしたいと思っています。
また、うちの施設は23時間営業なので、夜に使う人もいれば、深夜だけ使う人もいます。また朝風呂だけに来る人もいますね。そういった、お客さんが自分の好きな時間に来れるのも大きいと思っています。
編集長 ケンフィー確かに夜遅くまで営業している温泉施設は他にないですよね。
エキチカ温泉くろしおの将来の展望
編集長 ケンフィー最後に、今後の展望や目標については、どのような感じでしょうか?
石間 文博うちと同じ源泉を使った温泉施設は市内に数箇所ありますし、焼津温泉を訪れる際に単にお風呂に入るだけであれば、どこの施設でも同じように感じるかもしれません。
うちの施設は、自分の都合の良い時間に温泉に入り、自分の好きなことをすることができます。また、家族で来場する際には、みんなで温泉に入り、上がった後はそれぞれが好きなように過ごせるので、例えば、レストランでご飯やお酒を嗜みながらくつろいだり、漫画を読みながら楽しんだり、仮眠したり、ちょっと仕事したり、各々の時間を過ごすことができます。
編集長 ケンフィーそれが、このエキチカ温泉のくろしおのこだわりポイントですね。
石間 文博はい、誰と来ても楽しめる場所を目指しています。また昔から「くろしお温泉」=「焼津駅前健康センター」という形で親しまれてきたので、そういった歴史や先代の想いを引き継いで、地域の居場所を目指していけたらと考えています。
編集長 ケンフィー昔から地域の人たちに親しまれてきて、時代に合わせて施設をアップデートさせて、今後も地域に親しまれる居場所を目指しているというのが素敵ですね。
石間 文博はい。お風呂自体は昭和59年とほぼ同じなので古いんですが、タイルなどは修繕していますし、施設の2階を大きくリニューアルしたり、最新のサウナを導入したりしましたので、他の施設と比べても見劣りしないと思っています。
編集長 ケンフィーなるほど。そういえば静岡県内にもまだまだ源泉が多いですよね。
石間 文博そうですね。梅ヶ島、熱海や伊豆は温泉っていうイメージがありますし、静岡県内にもたくさん源泉があります。焼津に来た際には、うちのような場所でもいいですし、ちょっと豪華な場所で富士山や駿河を見ながら食事するのもいいですし、焼津温泉にはいろんな過ごし方ができますね。
編集長 ケンフィー取材はここまでになります。素敵なお話をありがとうございました。
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きっと、あなたの知らない焼津温泉の魅力に気付かされるかも。