学生が社会問題を知り地域に参加するきっかけを作る静岡産業大学 太田 裕貴 准教授の挑戦【前編】

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ゼミの活動から始まった地域活動と挫折

たった一人の熱狂から世界が動き出す想いをインタビューする「On the One」。今回お話を伺ったのは、ゼミとして地域と関わる活動を行う太田 裕貴さん。静岡産業大学の准教授でありながらも地域創生活動に関わっているきっかけや、今後の展望まで伺いました。前編では、大学の准教授として地域に関わり始めたきっかけを伺いました。


(太田 裕貴 さん)


太田 裕貴 さん
1988年生まれ。大阪府出身。
大阪市立大学(現:大阪公立大学)、大学院経営学研究科後期博士課程修了(経営学博士)。静岡産業大学経営学部准教授。2021年4月から静岡産業大学経営学部 准教授を務め、会計やファイナンスの研究を行いながら、ゼミの活動の一環で、子どもたちや大学生の居場所づくりに携わっている。

ゼミの活動をきっかけに大学から地域へ

myicon編集長 ケンフィー地域の活動に関しては、昔からされているんですか?

”"太田 裕貴 さんそうですね。活動を始めたのは、静岡産業大学に着任してから4年後ぐらいですかね。

myicon編集長 ケンフィー元々静岡にいらっしゃったわけではないんですか?

”"太田 裕貴 さん7〜8年前に、大阪の大学院を卒業して、就職のタイミングで静岡に来ました。

myicon編集長 ケンフィー静岡産業大学に着任されて、4年後ぐらいに地域の活動を始めたということですが、最初はどういった形で始まったんですか?

”"太田 裕貴 さん専門が会計なので、基本的には大学の中だけで完結するんですが、着任してから4年後ぐらいに、ゼミ生の中に不登校や引きこもりがちな生徒が増えてきた印象で、大学を出て地域の方と接点を持とうと思い始めたのがきっかけですね。

myicon編集長 ケンフィーなるほど。具体的にはどんな活動を始められたんですか?

”"太田 裕貴 さん最初はフードバンクの活動からだと思います。それから、フリースクールのような学習支援や、居場所作りの一環でBiViをお借りしてゲーム大会をやったりしていました。
学生自ら企画するという形でやっていたので、学生の就労支援も兼ねていました。

myicon編集長 ケンフィー地域の活動は、ゼミを絡めてやられているんですね。

”"太田 裕貴 さんそうですね、基本的にゼミを絡めつつ、1〜2年生で興味を持ってくれた子に対して「一緒にやりましょう」と声をかけてやっていますね。

myicon編集長 ケンフィーひとつずつ聞いていきたいんですが、まずフードバンクをやろうと思ったきっかけってなんですか?

”"太田 裕貴 さんいずれの活動も、きっかけは似ているんですが、大学で6月ごろになると、毎回出している課題があって、主にそれがきっかけですね。

myicon編集長 ケンフィーその課題ってどういうものですか?

”"太田 裕貴 さんクラウドファンディングサイトを閲覧して、プロジェクトオーナーがどういう活動しているかとか、どういう思いを持ってやっているかとかを調べて、何かしらのアクションを起こすという課題です。

myicon編集長 ケンフィー「アクション」っていうのはどういったものですか?

”"太田 裕貴 さん1番ハードルが高いのが、そのプロジェクトオーナーに会いに行ったりとか、一緒にコミットして活動するというアクションなんですが、なかなかそこまでいかないので、例えばお礼の手紙送るとか、「興味があるので自分たちにできることで連携しませんか」と連絡を送るとかが多いですね。

myicon編集長 ケンフィーその流れでフードバンクに関わるようになったというわけですね。

”"太田 裕貴 さんそうですね。フードバンクの活動は、学生の1人がNPO法人フードバンクふじのくにさんに、2年前に「藤枝や大学周辺でフードバンクの活動をやってみたいです」とメールを出したところ、先方から返信があって、本格的にスタートしました。

社会問題を知って動くきっかけを作る

myicon編集長 ケンフィーなるほど、元々は夏休みの課題から始まったんですね。

”"太田 裕貴 さんそうですね。食品ロスや貧困などのいろんな問題が絡むテーマについて関心を持ち、自分たちで何かできないかなと考えた学生たちがトライした結果って感じですかね。

myicon編集長 ケンフィー今はどういった形でフードバンクの活動をされているんですか?

”"太田 裕貴 さん今は、フードバンクの活動を通じて、まず余った食品を回収しています。これまでに磐田キャンパスで1回、藤枝キャンパスで2回の合計3回、回収を実施しました。集めた食品は、学生たちに配布したり、「0円スーパー」「自由マルシェ」を開催して地域住民に食品を提供する取り組みも行っています。

myicon編集長 ケンフィー素敵な活動ですね。

”"太田 裕貴 さん経済的に苦しんでいる学生や留学生、地域の困窮者に対して、食品を提供することを目的とし、余った食品を集めて配るのがメインの活動ですね。

myicon編集長 ケンフィーフードバンクに関して、今後の展望とかあったりしますか?

”"太田 裕貴 さん最近では、学習支援で伺っている島田商業の定時制の生徒たちと協力し、高校生たちの視野を広げることも目指しています。

myicon編集長 ケンフィー高校まで活動の幅を広げていらっしゃるんですね。

”"太田 裕貴 さん高校生の皆さんでも、こういう社会問題を知ることで、世の中に対してアクションを起こすきっかけになれるはずだと考えていて、そのモチベーションで、やらせてもらっています。

フリースクールの活動と挫折

myicon編集長 ケンフィー確かに今の10代〜20代の人って社会問題に関心のある人は多いですよね。

”"太田 裕貴 さんもちろん何かしらあるとは思います。ただ具体的に自分に何ができるかを考えられる人は少ない印象ですね。

myicon編集長 ケンフィーなるほど。そういった活動を通じて、具体的なアクションをイメージできるようになるというわけですね。

”"太田 裕貴 さん1つの社会問題でも、人によって感じ方も違うでしょうし、将来的には、そういう“社会問題に対する感じ方”が、働く時のモチベーションになってきますからね。

myicon編集長 ケンフィーなるほど。大学生だけに留まらず、高校生のキャリアも考えての活動なんですね。
次に、フリースクールのような学習支援について聞きたいんですが、それはどういう活動ですか?

”"太田 裕貴 さんそうですね。この活動のきっかけは、約4年前に、とある学生が始めたことでした。彼は中学、高校と不登校の経験があり、通信制高校に通っていた子でした。

myicon編集長 ケンフィーその学生さんが活動を始めたきっかけは何だったんですか?

”"太田 裕貴 さん彼が学習支援のようなアルバイトで近所の子供たちと接する中で、やりがいを感じ、その時に、これを他の子どもたちにも提供したいという想いを持ったそうです。それで彼がうちのゼミに入ってきてくれて、彼から打診があり、まずは大学の設備や近くの公民館を使って何かできないかと話し合いましたね。

myicon編集長 ケンフィー実際に始めてみて困ったことはありましたか?

”"太田 裕貴 さんいろいろ問題があって、実際に活動を始められなかったんですよね。でも、彼は地域にあるフリースクールや寺子屋の活動に参加し始めて、静岡で活動しているフリースクールの人々とも交流を深め、徐々に知識を広めていきました

myicon編集長 ケンフィー自分の原体験がエネルギーになっているところが素敵です。当初、うまくいかなかった原因は何だとお考えでしょうか?

”"太田 裕貴 さん原因はいろいろあると思いますが、やっぱり信用が足りなかったのかなと痛感しています。公民館を借りてやっていたので、気になって来てくれたりはするんですが、例えば週1回来ようと思えるかと言えば、やっぱり親目線で見たら、自分の子どもを信用のないところに託さないと思いますし。

myicon編集長 ケンフィーそれは、ほんと難しい課題ですね。

”"太田 裕貴 さんその問題に対して突き進むなら、全てを捨てて取り組まないといけないぐらいの課題感でしたが、私も本業ではないので、煮え切らなかったなってところですかね。

myicon編集長 ケンフィーなるほど。

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(取材協力: 太田 裕貴 氏(Instagram)/取材・編集:ケンフィー(Instagram, Twitter))