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高校時代の親友を救った、名前を可愛らしい菩薩画にする「お名前菩薩」
今回お話を伺ったのは、第10回志太ビジネスプラングランプリで準グランプリに輝いた「お名前菩薩」の横山利子さん。この活動を始めるきっかけとなった高校の親友のエピソードから、商標登録などを済ませてこれからやっていきたいことなどを伺いました。
(横山 利子さん)
横山 利子さん
1962年生まれ。大阪府出身。癒しと書画工房てのひら代表。
京都で「お名前菩薩」アーティストとして活動していたが、主人の都合で静岡に移住。静岡に移住後、「お名前菩薩」の活動を静岡でも展開するために、イベントへの出店や起業講座など多彩に活動し、2023年2月に開催された志太ビジネスプラングランプリ最終審査会で「お名前菩薩」のビジネスアイデアが準グランプリに輝く。現在は、商標権を出願し、静岡を中心に全国的に活動を広げていこうとしている。
自分の名前が愛おしくなる「お名前菩薩」
編集長 ケンフィー「お名前菩薩」の活動をされているとのことですが、それはどういったものですか?
横山 利子さん名前や屋号のオーダーを受けてから、 小さいサイズだと1週間、大きいサイズだと数ヶ月かけて書いて納品しています。
あとイベントでは、お名前地蔵の「地蔵菩薩」として、お客様の目の前で、名前を聞いて、その場で約10分〜30分の間で書いてお渡しするという活動をしています。
編集長 ケンフィー元々、絵を描くのが好きだったんですか?
横山 利子さんもともと、絵を描いたり文字を書いたりするのが好きでしたが、占い師として活動していました。
編集長 ケンフィー文字を書いたり、絵を描いたりする方には進まなかったんですか?
横山 利子さん元々は5歳の時から、お習字を習っていました。だから、小学生の時の将来の夢は画家になるか、書道の先生になるかだったんですよ。でも、どちらにもならなかったんですけどね。
編集長 ケンフィーでも結局、菩薩画というところで繋がってますよね。
横山 利子さんそうですね。
編集長 ケンフィー名前を菩薩画で描くという発想はどこからですか?
横山 利子さんその発想は、京都で受けたとある講座で、目の前に座っていた同じ受講生さんからです。
その方が「あたしね、面白いことできるの。人の名前をしいたけで書けるの」って言ってたんですよ。
編集長 ケンフィーしいたけですか?
横山 利子さんそう。私も描いてもらったんだけど、自分の名前がしいたけになったのを見て感動しました。
それで、その方に「私はお地蔵さんを書いていて、名前でお地蔵さん描けるかもしれないな」って言ったら、「やったらいいよ」って言われて生まれたのがきっかけですね。
編集長 ケンフィーじゃあ、その方がいなかったら、生まれてなかったんですね。
横山 利子さんそれで本格的に活動し始めたのは、高校の同窓会に行ったことがきっかけです。
編集長 ケンフィーというと?
横山 利子さん高校のときに仲の良かった「さちこさん」っていう人がいて、さちこさんに会った時に、「私、名前が嫌いやねん」って言われたんですよ。
「この名前のせいで幸せじゃない」って言っていたので、その子に自分の名前を好きになってほしいなと思って、お名前菩薩を描いてプレゼントしました。
編集長 ケンフィー素敵なプレゼントですね!
横山 利子さんそしたら彼女が涙を流して、「こんなに自分の名前を愛おしくと思ったことはない」って言って、涙を流して喜んでくれたんですよ。
編集長 ケンフィーそれは素敵なエピソードですね。
横山 利子さん「この名前のせいで何もうまいこといってない」とか言ってたのに、今はイラストレーターとして活躍していたり、パートナーに恵まれて幸せに暮らしているので、やっぱり名前を好きになると人生変わるんですよね。
編集長 ケンフィーそう考えると名前への愛着って大事ですね。
横山 利子さんそうですね。「私は幸せなんだ」って気づくと、前向きな生き方するものですから。
(“ケンフィー”の名前でお地蔵菩薩を描いていただきました)
静岡に移住し、自らチャンスを掴んできた4年間
編集長 ケンフィー元々は大阪出身とのことですが、そこから静岡に来たのはいつごろですか?
横山 利子さん2019年ごろに、主人の両親が高齢になってきたので、主人が生まれ故郷の静岡に帰りたいってなりました。ただ私はどこでもできる活動だったので、一緒についてきましたね。
編集長 ケンフィーでもこっちに来て、人脈もなく、何にもわからない状態だったと思いますが、どのように活動を広げられたんですか?
横山 利子さん京都だったら活動する場所があったけど、(静岡だと)そんなところもないし、どうしようかなって思っていました。
そんな中で、たまたまBiVi藤枝へ買い物に来た時に、出店している人を見かけました。
編集長 ケンフィー1階のトライアルスペースですね。
横山 利子さんそう。「ここに出たいんです」って言ったら、申込方法を教えてくれたんですが、もともと心臓が悪かったこともあり、ちょうどそのタイミングで心臓発作を起こして狭心症で入院してしまったんですよ。
編集長 ケンフィーえっ大丈夫だったんですか?
横山 利子さん手術して元気になりました。ただ、そこから出店してみようと思って、やり始めたところ、COVID-19によるパンデミックで活動が止まりました。
編集長 ケンフィーこっちに来て、いろいろとやろうと動いてみたものの、持病やコロナで思うように活動できなかったんですね。
そこから昨年度のビジネスプラングランプリに出場されたと思うんですが、それはどういう流れで出場されたんですか?
横山 利子さんBiViキャンで行われた「ビジネス女性アカデミー」を受講したのですが、その時に「(素敵なビジネスプランなので)ぜひ出してください」って言われて応募しました。
でも、その時は決勝まで残ることができませんでしたね。
編集長 ケンフィーそれでリベンジされたんですね。
横山 利子さんそこから「小さな起業講座」という講座も受講したのですが、そこでもビジネスプラングランプリに出してみたらって言われて、今度は「お名前菩薩」で応募しました。そしたら準グランプリを取れましたね。
編集長 ケンフィーそれはすごいですね。その後の反響はありましたか?
横山 利子さん反響は、あまり少なかったですが、最終審査会でのプレゼンを見た方から、「自分の名前や屋号のお名前菩薩を描いてほしい」とか「お話聞いてみたい」とか、いろいろとお声がけをいただきました。
ちょっとしたお祝いから冠婚葬祭まで多彩な可能性を秘めた「お名前菩薩」
横山 利子さんあとは、審査員からも言われた通りに、こっちから動かなきゃと思って、企業や銀行向けに説明しに行こうと資料を準備しているところです。
編集長 ケンフィー企業や銀行向けにはどんな形でやられるつもりですか?
横山 利子さん企業さん向けは、退職祝い・結婚祝い・栄転祝い・昇給祝いの際に、お名前菩薩を使ってくれないかなと思っています。
編集長 ケンフィー確かに何か贈りたいけど、花だとありきたりだし、花をもらってもどう処理すればいいか分からず困るので、そういう意味では「お名前菩薩」も選択肢としてありですね。
横山 利子さんそうです。あとは、メモリアル向けのお名前菩薩も考えています。亡くなった方のお名前を菩薩画にするという感じなんですが、現在口コミで3件ほど申し込みがきてますね。
編集長 ケンフィーメモリアル系も需要があるんですね。
横山 利子さんやっぱり遺影は写真だけだと寂しいし、子どもが写真を怖がるので、可愛らしい菩薩で描いてほしいという声もありますね。あと、私のように、嫁として実家を出ていくと、実家にある遺影の代わりに置きたいっていうのも結構あるんですよね。
編集長 ケンフィーなるほど、それは横山さんが県外から来たからこそ分かることですね。
横山 利子さん実際、そう思っている方も多くて、そういった依頼もありました。
編集長 ケンフィーどんどん需要が増えているんですね。これからどういった形で、活動を展開していく予定ですか?
横山 利子さん今後の展開はまだなんとも言えないですが、一応「お名前菩薩」としては、商標登録をしっかり取っているので、国内で他の方が真似できないようになっています。
編集長 ケンフィー日本でできるのは横山さんだけなんですね。
横山 利子さん紙媒体だけじゃなくて、アパレルや占い系のおみくじなども含めて、商標を取ってます。
編集長 ケンフィーそんなに広く取得されたんですね。
横山 利子さん自分だと、そんなに考えていなくて、弁理士さんと相談してみて、「これはこれにも使えるんじゃない?押さえた方がいいですよ」って言って、商標を広く取得しましたね。
編集長 ケンフィーなるほど、そういうことだったんですね。
横山 利子さんあと、その弁理士さんからは「本当に使わなくて、どうしようもなくなったら売ればいい」って言われましたね。
編集長 ケンフィー要はライセンスってことですね。今後はどのような活動をしていきたいですか?
横山 利子さん自分の中では、どういう風にアイデアを作っていったらいいか分からなくて、いろんな方々から聞いている最中です。
編集長 ケンフィーなるほど。
横山 利子さんただ京都では「お名前菩薩」のような仏画を、名前やメッセージなしで「ほっこり仏」としても売ってました。なので、「お名前菩薩」とは別に、可愛らしい仏画の販売をして、グッズ化していこうかなって思ってます。
編集長 ケンフィーほんとに可能性を感じますね。素敵なお話をありがとうございました。